バードマン・リペアのひらのたけしです。
中国語話せないですが上海の海門という所に行って来ました。上海に行った経緯ですが、2016年ロンドンで補修作業をさせて頂いた依頼者様から、イタリア・ローマで使用しているアルミ製の什器の色を塗り替えて欲しいと依頼を頂きました。
ただ、この部材の補修が難しく、簡単にOKとは言えないので、そこで、製作工程が見れるなら、何かヒントが得られるんじゃないか?と思い仕事が落ち着いた4月に上海の家具工場へ行くことにしました。
補修部材
実際に僕が思ったことは、「現地のイタリア人で出来るんじゃない?」。
すると、現地の業者に頼んでリペイントしたみたいなんですが、上手くいかなかったそうです。
このアルミ板を補修するには4つの問題と必要な材料
問題
・ 補修すると横に入っているヘアーラインが消える。
・ 既存塗料を剥離して綺麗に塗装できるのか。
・ 既存製品は薄い塗膜なので、上塗りすると塗った感じが出て質感が変わる。
必須道具
・ 現地イタリアorヨーロッパ圏内で塗料(染料)の調達
いろんな問題がありますが、こうなったら製造行程を見るしかないと思い、ロンドンでお世話になった現場責任者(香港人)にLineで連絡し、下記の内容を伝えました。
・「キャビネットの製作工程を見たいんですが可能ですか?」
・「工場の場所はどこですか?」
・「画像と動画の撮影はOK?」
すると、全てオッケーが出ました。有難いことに香港の現場責任者さんも上海へ同行してくれることになり一緒に家具工場を視察することになりました。
香港の責任者さんは今後、SWさんと表記します。
上海から海門へ
関西国際空港から3時間で上海へ行けるとはなかなか近い。
SWさんとは荷物を受け取る場所で合流し、車で海門まで向かうことになりました。
空港から海門までは車で2時間、家具工場の社長(陳さん)さんと奥さんが空港まで迎えに来て くれていたので、軽く挨拶した後は、道中は中国語の渦に埋もれていました。
海門市内の豪華なホテルに宿泊
ホテルの予約はSWさんが取ってくれていました。実際どこに泊まるのか知らなかったんですが、かなり豪華なホテルだったので驚きました。
一泊440元 日本円で6000円ですかね。いい気分にさせてもらいました。朝食はバイキング形式で、選べる数が多すぎてウロウロするばかりでした。
工場見学
海門市内から車で10分ほどで工場に到着。 ここに来れば謎が解けると思い日本からやって来ました!
工場の名前は「夢工場家具」Dream Work Facotry
製作している商品はオーダーメイド家具全般、
(ベッド、キャビネット、ソファー、装飾品、金物系部品まで)
工場は3階建てのビル
・1F 研磨、塗装の仕上げフロア
・2F 木材加工場
・3F デザイナーさん達が働くオフィースと社長室。
完成した家具がズラリ!やはり上海で作っているので価格は安いそうです。
#補修#補修屋#上海 pic.twitter.com/FC6msmfhDz — 平野 岳史 (@takeshi_hirano) 2017年4月9日
だだっ広いんですが、これぐらい敷地がないと家具つくれないと感じた! #補修#補修#上海 pic.twitter.com/o1PUuWfwVA — 平野 岳史 (@takeshi_hirano) 2017年4月9日
円卓でリアル中華を頂いた
期待はしていましたが、現地でのリアル中華はテンションが上がります!そしてSWさんに呼ばれ3Fの社長室へ行くと豪華な昼食がずらりと並んでいました。
確実に4人の量ではないですが、これぞ「おもてなし」って感じで嬉しかったです。
いゃ〜円卓での中華美味しようわ。中国の人って肌ツヤええね。#補修 #補修屋#上海#中華 pic.twitter.com/InWSqsFoDe
— 平野 岳史 (@takeshi_hirano) 2017年4月12日
海に近いこともあるので、やはり海鮮料理が豊富なんですかね?味付けは甘辛い感じでとても美味しかったです。
中国ではお肉と魚を一緒に食べるのが当たり前だよ!って言われて少し驚きました。 日本では分けて食べることが多いですよね。
工場内の様子(画像)
補修方法の謎が解けた
アルミの塗装工程を見学させてもうために塗装部屋へダッシュ。
すると、あのアルミの板が無造作に置かれていました。
そしてその横には塗料缶があるではないですか、鼻血が出るぐらい興奮して、中国語が話せないので職人さんに詰め寄ってしまいました。
使用されている塗料の種類がわかった
塗料の缶には漢字で詳細が書かれていたので解読可能!
缶の種類は ・カラーインク(赤白黄色黒) ・ウレタン塗料クリア ・硬化剤 ・希釈材 ・剥離材 ウレタン塗料でこのアルミは塗装されているんだとわかりました。
ざっくりだけど、調色の配合がわかった
そして、どうやってこの色を調色しているのか知るために、手に漢字を書いて意思を伝えました。
今考えたら「調色」って書けばいいやんと思いました。すると「赤・黄色・黒」で調色しているとBIGヒント!このゴールド感は金色を入れているんではなく、アルミの地金が反射してゴールドに見えているんだと気づく事ができた。
手際が良いなぁ!毎日やってるオーラが出てる。 #上海#補修屋#補修 pic.twitter.com/nqOiyS1O9I — 平野 岳史 (@takeshi_hirano) 2017年4月11日
実際にアルミ板に塗装しているところを見せてもらいました。
同色ではないですがイメージを掴む事ができました。 かなり塗料を薄めて塗装しているので、アルミのヘアーラインが消えずに塗装できているんだと気付かされました。
工場の社長さんから簡易的な補修は塗料が剥がれると忠告がありました!
アルミの板の塗装工程はこうなっています。
焼き付け乾燥とは、塗装をした部材を釜の中でカリッと焼いています。こうすることによって塗料がアルミに密着するそうです。
焼き付け工程をしなくても、密着材を散布した後に塗装すればOKだと思いますが、大規模な再塗装はリスクが高い事がわかりました。
焼き付け乾燥用の釜です。
オリジナルの塗料を使って補修実験!
このアルミ板と同じものを部分的に削って、その箇所だけ再塗装できるのかやってみます!
ただ、やる前からゴールが見えていました。「きっと上手く行かないんだろうなぁ」 ですが、とりあえずやってみます。 やっぱり思った通り均一に塗料がのってくれませんでした。そりゃそうだw。
実験した結果、上手くいかなかったけどヒントを掴んだ
同じ塗料を使って削った箇所を塗装しても既に塗装されている、既存箇所が濃くなって行くのでキレイになりません。
やる前からわかっていたんですが、やってみると萎えます。ですが、アイデアが浮かびました! やはり、やってみないと頭は回転しないもんですね。
既存箇所に塗られている塗装を全て、剥離材でキレイさっぱり除去すればいいんじゃない?
剥離材
この案を中国人の職人さんに伝えると 「剥離材ありますよ」 「作業で失敗した時は、剥離材を使ってやり直している」 やっぱりその方法だったのか!小さくジャンプしちゃいました。
上海(海門)に来てわかった最終的な補修方法
既存の塗装を剥離する
工場内にある道具・材料を使用できるならこの工程は簡単に行えます。
日本で同等の作業を行うのも、塗料のイメージも掴めているので似たような塗料を探して、調色して、出来るかなと思います。 謎が解けました。
ただ、剥離する際に地金に傷が付きヘアーラインが侵されるという問題に直面しました。
工場で見た中国の製品と技術力
日本人にとって中国製品のイメージは「粗悪品」というイメージがあります。
ただ、現在の中国は有名なドローンや世界に匹敵す商品をガンガン売り出しています。今回、僕が工場で見た製品の品質についての感想は、パッと見た感じは良品だと感じました。
でも、少し塗装が甘かったり、ビスが均一に留まってないなど細かな箇所のクオリティーの低さが目につきましたが、生産コストから見ると決して悪い商品ではなかったです。
職人さんの技術力は、一言で言うなれば「悪くない」プライドを持って働いているというオーラはすごく感じました。
しかも長時間労働を黙々とこなしていましたし、もっとダラダラしてるのかと勝手に思っていましたが、全然そうではなく、寡黙に働く姿に驚きました。
足りないものが何かと言えば、道具の管理が杜撰だと思いました。 塗装道具などが綺麗に洗浄されていなかかったのが目につきました。
プロ野球選手のイチロー選手は、毎日グラブを試合前と試合後に磨いているそうです。
道具を大切にするということは、仕事のクオリティーに直結することなので道具の管理は大切だと思いました。
上海(海門)での夕食は鍋料理を頂きました。
SWさんから「工場に来たら鍋食べるからね」って言われていたので、かなり楽しみにしていました。
中国の火鍋を初めて食べたんですが美味しかったです。
僕の鍋です。スープのベースは蟹にしました。
お肉と野菜をたくさん食べれて健康的な鍋料理!鍋の薬味ブースの豊富さに驚きました。いろんな味が試せるので鍋が進む進む。
盃を交わした本音トーク、中国と台湾と日本のこと
レストランに行く前に工場の社長(陳さん)さんとみんなで酒屋に行きました。
みんなで一本づつの赤ワインを購入。
僕はあまり赤ワインが得意ではないんですが、せっかく購入したので鍋を頂きながら飲みました。
酒と食事が進むに連れて、陳さんもいい感じに酔って来たのか、陳さんからSWさんを通してたくさんの質問を受けましたので紹介したいと思います。
・日本の総理大臣(政治)についてどう思う?
・韓国が保持する迎撃用ミサイルについてどう思う?
・トランプ大統領についての感想
・数年前にあった過激な日本に対するデモの内容知ってる?
・尖閣諸島の問題の真相 ・南京大虐殺って学校で習うの?
内容はヘービーですが、険悪な雰囲気にはなって無いですよ。終始、陳さんとは5分おきに乾杯を催促されました。でも、これって「飲め飲め」って意味なのかなと思いました。(笑)
食卓には、僕(日本人)と社長さんと奥さん(中国人)そしてSWさん(台湾人)の4人。 隣り合うアジア人で食卓を囲む機会もなかなかないので、話が盛り上がりました。
上記の内容を中国の方と話す機会も日本にいるとなかなか無いので、話しながら日本を客観的に見れました。
そして中国人から見えている日本人のイメージ・歴史感を肌で感じることができたので楽しかったです。 恥ずかしいことに知らないことも多かったので歴史について勉強しないとなと思いました。
上海(海門)滞在の感想
左 陳さん(社長)右 ぼく
本場の中華に圧倒された2日間でした。上海の工場見学は、ただただ冒険でした。
頭の片隅で、きっと工場に行けば答えがあるはず。と信じていました。そして最終的に補修方法がわかったので、少し安心しています。
ただ、現時点でイタリア・ローマでの補修案件を受ける事が難しいという事もわかりました。
責任を持って補修作業を行うことが大前提なので、日々、実験を重ねて技術の向上を目指したいと思います。 最後に、陳さん感謝してます!
* 2017年の視察風景をリライトしました。
海外出張の事例を紹介
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Line ID:boycottyou Mail: rocknrollhospital@gmail.com
「補修の件」と言ってもらえれば分かります。ラインでお気軽にご連絡ください。
BIRDMAN 代表 ひらの たけし 神戸市在住
2018年で補修歴10年が経ちました。経歴がすべてはないですが、こんなに長く一つの仕事を続けられたことに自分でも驚いています。 これまで困難な現場をいくつも経験してきました。きっとお客様のお役に立てるかと思います。
補修歴10年ですので、床の補修・建具・人造大理石カンター・サッシ・ステンレスなのど多岐にわたって作業可能です。 また、賃貸物件・新築戸建て・マンションなど新築・中古物件どちらでも対応致しております。余談ではありますが、英語が得意なので、外国の方でも英語対応を致します。
2016年はヨーロッパからのご依頼をいただき、ロンドンでお仕事をさせていただきました。 将来的には海外に仕事の拠点を移し、幅広い分野で活躍したいと思います。
最後に、悩んでいる人の悩みを少しでも解消することがリペアマンの仕事だと思っていますので、困ったことがありましたらお気軽にご連絡ください。
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